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2014.12.2423:04

【創作】クリスマス・レクイエム

メリー・クリスマス、nexaです。クリスマスの夜にちょっと優しい創作をお送りします。

クリスマス・レクイエム

静けき夜 聖き夜
おしなべて穏やかに しきなべて輝けり
孕める乙女と その子はかしこに
御子はやすらけくなよびかに
御国なるごと ことなく眠り給ふ

 クリスマス・イヴの夜には、自殺する人が増えるという。
 それはそうであろうと、道に面した窓の外を眺めて思う。街はネオンに煌めき、男女は腕を絡めて歩く。一生を童貞で過ごした神の子が処女の腹から生まれた夜に、何を思ったのか淫乱に過ごすのが習わしだ。群れ集まった蛙たちが我先に争って交尾をする蛙合戦のような夜、独りの者は心を病んで死に急ぐのは実に道理だ。
 人の命より自分の愉しみだとわらいつつ、街角のネオンは輝く。

 ただ独り。僕も死んでしまおうか。部屋の中、死ねそうなものを探る。包丁は刺し方が難しい。痛いばかりで死ねないだろう。睡眠薬は数錠を数えるほど。ビニール紐は切れさえしなければ確実だろうか?
 ふと窓の外を見る。向かいのビルの一室に人影。天井に手を伸ばして、なにやら吊り下げる。もう夜の23時。いまさらクリスマスの飾りつけだろうか?
「あっ」と、僕は声を上げてしまった。
 その人が首にその吊り下げたものをひっかけ、体をそれに任せて吊り下げてしまったからだ。一回携帯電話に手を伸ばし、置く。警察に電話しようと思ったが、実は見間違いかもしれない。――それ以上に、誰かが死んだかもしれないことへの興味に動かされたのだった。その部屋が何階の何号室か数えて、小走りに部屋を出る。

 ――戸を開ける。鍵はかかっていない。
 白いワンピースを着た、黒髪の綺麗な女の人が、目を見開き、顔を赤紫にして体を揺らしていた。女の人はピクピクと痙攣している。今下ろして救命処置をすれば助かるだろうか?――いや、やめておこう。彼女は自ら選んだのだ。紙切れが一枚、彼女が垂れ流した尿の池に浮かんでいる。それを拾い上げる。

 どうして私を捨てていったの?
 あの女のどこがいいの?
 私はあなたに身も心も全て尽くしたのに。
 呪ってやる。お前もあの女も呪ってやる。
 怨霊になって祟ってやるから覚えていろよ。

 ――可哀そうに。君はひどい男に騙されたんだね。抱きしめてやると、その体はまだ温かかった。そのときはもうすでに痙攣は収まっていた。そして僕は恋に落ちてしまったのを感じた。どうしようもなく愛しくなってしまったのだ。
 濡れた下着を脱がせ、そこにあったタオルで足を拭いてやる。脱がして露わになった性器に興奮し、思わず「ごめんなさい!」と言い、目を逸らしながら拭く。そこにあった包丁でロープを切り、下ろす。ロープをほどいて、赤紫の顔が見えないように着てきたコートをかぶせる。お姫様抱っこをして抱え上げ、自分の部屋まで運ぶ。何人もの人が見ているが、クリスマスの夜だ、きっと酔って動けなくなった女を介抱して――または介抱するふりをして好き放題するために――連れ帰っているようにしか見えないだろう。

 ――女の人を自分のベッドに寝かす。こんな綺麗な人が、僕のベッドの上に寝ている。
 彼女を抱きしめてから今までずっと我慢してきて、もう我慢は限界だ。上に乗り、乱暴に唇を奪う。この寒空の下一回外に出したら、彼女はもうすっかり体温を失っていた。冷たい死体の唇の味が、舌に伝わってくる。
 血が集まりきって熱くなった性器を、血の気が引き切った冷たい性器に乱暴にねじ込む。死体の性器が、優しく僕の性器を包み込んでくれる。死体は冷たいのに、とても温かく感じた。気持ち良くて、気持ち良くて、精子を子宮に大量に注ぎ込んだ。全身が震える。
 死体の決して妊娠することのない子宮に、大量の精子を注ぎ込む。――いや、処女も妊娠するのだ。死体だって妊娠するかもしれない。
「僕の子供、妊娠してくれますか?」
と、彼女のお腹をさする。

 急に、クリスマスを祝いたくなってきた。ご馳走を買いに部屋を出る。「ちょっと待っていてくださいね」と声をかけてから。

 赤ワインと、バケットと、パスタと、出来合いのサラダを買ってきた。ターキーは買ってこなかった。肉はいらないと思ったのだ。なぜなら――
「あなたを食べてもいいですか?」と、彼女の髪を優しく撫でて、頬にキスをする。
「愛しているんです。いいでしょう?」
 パスタを茹でながら、包丁と鋸でなんとかかんとか右腿を真ん中あたりから外す。そして包帯を断面に巻く。根元から切り落とさないのは、あとでもう一度セックスするときにしやすいようにだ。
 赤ワインとバケットとパスタとサラダに、彼女のステーキが添わる。
「いただきます。――美味しいですよ、あなたのもも肉のステーキ。楽しいです。あなたも楽しいですか?」

 名前も知らない彼女とセックスをして、食事をして、楽しく話をした。
 今まで、こんなに楽しく、優しい気持ちになれたクリスマスはなかった。窓の外のネオンが、煌めいて見えた。

 ずっといい子にしていたからサンタクロースが彼女の死体を置いて行ってくれたのだろうか、などと、ぼんやりと思っていたら、いつのまにか時計が真上を指していた。
 もしかしたら、あなたも、孤独なクリスマスを苦しく過ごしているかもしれない。もしそうならば、あなたにもサンタクロースからの贈り物がありますように――。

静けき夜 聖き夜
天主が御子 愛は清き光に
御光はみおもてより放てり
贖ひたまふ み恵みの朝日
耶蘇あが主 あれたまふ
耶蘇あが主 あれたまふ

(完)
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